起きるのは、だいたいこの5つです
介護施設の採用やご家族向けにSNSを始めたい。そう考えている施設長や広報担当の方に向けて書きます。株式会社Bee(大阪)は放課後等デイサービスなど福祉領域の採用アカウントを撮影込みで運用していて、始める前に「何が危ないのか」を聞かれることが多いです。起きやすい型として5つに分け、仕組みで防ぐ方法を添えます。
| 型 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 1. 利用者さまの写り込み | 職員を撮った動画の背景に、同意のない利用者さまの顔が入る | 撮る場所と時間帯を決める。写り込んだ素材は使わない |
| 2. 個人情報 | 名札、居室の表札、ホワイトボードの予定表、服薬や病名の会話が映る・聞こえる | 撮影前に撮る範囲を目で確認する。編集で音声とテロップも見る |
| 3. 職員の私的アカウント | 職員が自分のアカウントで利用者さまや施設内の様子を投稿する | ガイドラインで線を引き、入職時と年1回の研修で伝える |
| 4. 退職者の動画 | 辞めた職員が写る動画が残り、本人から削除を求められる。または応募者が「あの人はいない」と知る | 出演時に退職後の扱いを書面で決める。退職手続きに投稿の確認を入れる |
| 5. 批判コメント | 「人手が足りていないのに」「利用者を見世物に」といったコメントが付き、現場が反応して広がる | 返信する人と手順を決める。事実の指摘と誹謗中傷を分けて対応する |
1と2は、撮る前に決まります
写り込みと個人情報の流出は、編集で防ぐものではなく、撮る前に防ぐものです。撮影は事務室、休憩室、玄関、空いている共用スペースなど、利用者さまがいない場所と時間帯に限ります。レクリエーションの様子を出したいなら、準備の場面だけで施設の空気は伝わります。
個人情報は、映像だけでなく音にも入ります。背後で交わされる服薬の確認や、名前を呼ぶ声です。病歴は個人情報保護法で要配慮個人情報とされ、取り扱いの考え方は個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」にまとまっています。ガイダンスは改正されるので、最新版を確認してください。編集の段階では、映像、音声、テロップの3つを別々に見ます。
3は、禁止より線引きです
介護保険の運営基準には、従業者が業務上知り得た利用者さまやご家族の秘密を漏らしてはならないこと、従業者であった者についても事業者が必要な措置を講じることが定められています(指定居宅サービス等の運営基準の秘密保持の条文。サービス種別ごとの基準と自治体の条例で確認してください)。職員の私的なアカウントにも、この線はかかります。
ただ、個人のSNSの利用そのものを禁じると守られません。「利用者さまと施設内の情報は出さない」「施設の公式アカウントに出るときは施設が撮る」の2行をガイドラインに書き、入職時と年1回の研修で伝えます。作り方はSNS運用ガイドラインの作り方にあります。
4は、出演の前に書面で
介護は職員の入れ替わりがある業種です。出演する職員には、退職後は非公開にするのか、本人の同意があれば残すのかを、出演を頼む段階で書面で決めておきます。同意書の項目は撮影・出演の同意書に入れる項目に、揉めたときの対応は退職した社員が写っている投稿の扱いに書きました。どの投稿に誰が写っているかを一覧にしておくと、退職の日に数分で対応できます。
5は、判断する人を先に決める
批判コメントで広がるのは、現場の職員が善意で反論を書き込んだときです。返信するのは施設長か広報担当の1人に限り、事実の指摘には感謝して確認し、必要なら投稿を直す。誹謗中傷には返信せず、スクリーンショットで記録を残してから非表示や削除を検討する。この2行を決めておくだけで、ほとんどの場面は収まります。
防ぐのは、人ではなく仕組みです
5つの型はどれも、撮影のルール、同意書、ガイドライン、投稿前の確認、コメント対応の手順という仕組みで防げます。職員の注意力に頼る運用は、忙しい日に破れます。法令やガイドラインの解釈は施設の形態や自治体で変わるので、個別の判断は所管の自治体や専門家に確認してください。
利用者さまを写さない前提で採用につなげる投稿の型は、介護施設のインスタ投稿ネタに6つ挙げました。施設として何を出すかの設計は、介護・福祉・医療の採用SNSでご相談を受けています。
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