この記事で扱う範囲
歯科医院が広告を考えるとき、「出してみたいが、どこから触ればいいか分からない」で止まることがよくあります。この記事は、その手順の話です。何を書いてはいけないかの考え方は歯科医院のSNS広告に書いたので、そちらを先に読んでください。
1. 広告アカウントの準備
Meta広告は、院のビジネスポートフォリオに紐づけた広告アカウントから、広告マネージャ(またはBusiness Suite)で出します。院のFacebookページとInstagramのプロアカウントを紐づけ、広告アカウントと支払い方法を登録します。所有者は院です。運用を外注する場合は、代行会社を「パートナー」として追加し、広告アカウントとInstagramの権限だけを渡します。パスワードは渡しません(アカウントの渡し方)。
2. 配信エリア
院の住所を地図上で指定し、半径で絞ります(半径の下限や刻みは管理画面で確認してください)。歯科は商圏が狭いので、2〜5kmが目安です。対象は「この地域に住んでいる人」を選びます。「最近いた人」まで含めると、通りがかりの人が混ざります。駅前の院で通勤客を狙うときだけ広げます。
3. 年齢と性別
小児歯科なら30〜40代、予防歯科や一般歯科なら25〜60代、のように診療の柱に合わせて絞ります。興味関心の細かい設定は要りません。病状で絞る項目はそもそも用意されていませんし、「歯周病でお悩みのあなたへ」のように見る人の健康状態を決めつける文面は、Metaの広告基準(個人の特性)で止まります。
4. 予算と目的
1日1,000〜3,000円で始めます。月にすると3〜9万円です。管理画面上はもっと少額でも設定できますが、配信の学習が進まず数字が読めません。目的は「認知」か「トラフィック」(予約ページやプロフィールへ)のどちらかにします。出稿後2週間は設定を触らず、数字が溜まってから直します。
5. クリエイティブ
縦型(9:16)の動画か、正方形の画像です。1本目は、院長が顔を出して「場所、診療時間、初診の流れ」を話す動画をすすめます。冒頭2秒で院の外観か院長の顔、テロップは大きく、30秒以内。広告用に撮り下ろすより、通常投稿で反応が良かったものを広告に回すほうが外れません。
6. 審査で止まる表現
医療広告ガイドラインと、Metaの広告基準の両方にかかります。
| 表現 | 止まる理由 |
|---|---|
| 「痛くない」「絶対に治る」「最新の」 | 医療広告ガイドラインの断定・最上級 |
| 治療前後の写真 | ガイドラインで不可。Metaも健康に関する前後比較を非準拠の例に挙げています |
| 患者さんの体験談 | 治療効果に関する体験談は広告に使えません |
| 「〇〇でお悩みのあなた」 | Metaの「個人の特性」ポリシー |
| 「地域No.1」「他院より安い」 | 比較優良広告 |
| インプラントの費用・リスクの詳細 | 限定解除の対象外(下記) |
限定解除は、厚生労働省のQ&Aで「患者等が自ら求めて入手する情報」を表示するウェブサイトなどに限られています。有料で表示されるバナー広告やSNS広告はこの要件を満たしません。広告では院名、場所、診療時間、診療科目などの広告可能事項にとどめ、自由診療の詳しい説明はリンク先の院のホームページに置きます。ガイドラインとQ&Aは改正されるので、出稿前に最新版を確認してください。
7. 出稿後に見る数字
リーチ、プロフィール訪問、リンクのクリック、そして予約の件数です。クリック単価が安くても予約がなければ意味がありません。予約フォームやLINEに「広告を見た」と分かる導線を1つ作っておくと、月に何件が広告経由かが数えられます。
出稿前に院長が見る
文面と動画は、出稿前に院長が確認してから出します。審査で止まったら、表現を直して再申請すれば済みます。広告の前に積んでおく通常投稿の作り方は、歯科・クリニックの集客SNSと合わせてご覧ください。