2026年1月から、下請法は取適法になりました
SNS運用を外に頼んでいる、またはこれから頼む会社の経営者や総務の方に向けて書きます。2026年1月1日、下請法を改正した中小受託取引適正化法(取適法)が施行されました。親事業者は「委託事業者」、下請事業者は「中小受託事業者」と呼び方が変わり、対象になる会社の範囲が広がっています。株式会社Bee(大阪)は撮影込みのSNS運用を受ける側ですが、編集や撮影を外に出すこともあるので、発注する側の立場でも読んでいます。
法律の条文と公正取引委員会の資料をもとに書きますが、この記事は一般的な整理です。個別の取引が対象になるかは、公正取引委員会・中小企業庁の最新の資料と、弁護士などの専門家で確認してください。
対象になるかは、取引の内容と規模の2つで決まります
取引の内容
取適法が対象にするのは、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託などです。SNS運用で関わるのは後ろの2つで、動画や画像の制作は情報成果物、投稿や分析などの作業は役務にあたります。
ここで注意が要るのは、自社で使うためだけの委託は、下請法の時代から対象になりにくい類型だということです。飲食店が自店のSNS用に動画制作を頼む形は、この類型に近いです。一方、広告代理店や制作会社がクライアントから受けた仕事を運用代行に再委託する形、運用代行が編集をフリーランスに出す形は、対象になりやすい類型です。自社がどちらにいるかを、まず見てください。
規模の基準
資本金の基準に加え、今回の改正で従業員数の基準が入りました。情報成果物作成委託や役務提供委託では、委託する側の従業員が100人を超え、受ける側が100人以下の場合が対象です(製造委託などは300人が区切り)。資本金では対象外だった会社が、従業員数で対象に入ることがあります。従業員数は委託した時点の常時使用する従業員の数で判断します。基準の表は公正取引委員会の「取適法の概要」で確認してください。
発注側に求められること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 条件の明示 | 発注時に、内容、代金、支払期日などを書面または電子メールなどの電磁的方法で示す |
| 支払期日 | 成果物や役務を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間に定め、その日までに払う |
| 書類の保存 | 取引の記録を作成し、保存する |
| 禁止される行為 | 受領拒否、代金の減額、支払遅延、買いたたき、不当なやり直しなど。改正で、協議に応じない一方的な代金決定と、手形払いなど支払期日までに満額を受け取れない支払手段が禁止に加わった |
違反には勧告や指導があり、勧告は公表されます。知らなかったでは済まないので、発注前に一度確認しておくと安心です。
SNS外注で起きやすい場面
- 「今月は投稿が少なかった気がするので、月額から引いておいて」。契約で決めた本数に満たないなら話し合いの対象ですが、根拠なく代金を減らすのは減額にあたります
- 「予算が減ったので来月から2割下げて」。値下げの相談自体は構いません。受ける側が協議を求めているのに応じず、一方的に決めると、改正で加わった禁止行為にあたります
- 口頭で始めて、発注書がない。条件の明示は発注のたびに要ります。月額契約なら契約書に共通の条件を書き、毎月の発注は簡単な通知で済ませる形が認められています
- 確認が遅れて、支払いも遅れる。検収に時間がかかっても、支払期日は受領日から数えます
対象外でも、同じ形にしておく
法人が個人のフリーランスに発注する場合は、規模に関係なくフリーランス法(2024年11月施行)で、条件の明示と60日以内の支払いが求められます。編集者や撮影者に直接頼んでいる会社は、取適法より先にこちらを確認してください。
どちらの対象でもない取引でも、発注書と支払期日を決めておけば、揉めごとの大半は防げます。契約書に入れる項目は業務委託契約書で確認する項目に、見積もりの読み方は見積書の見方にまとめました。弊社は契約期間の縛りを設けず、月額と本数と支払期日を契約書に明記する形で受けています。法改正の内容は今後も運用基準が出てくるので、最新の資料で確認してください。