法律と規約は分けて考えます
契約前に「これは違法ではないのか」「規約違反でアカウントが消えないか」と聞かれることがあります。もっともな心配です。答えは2段階に分かれます。
法律の面では、他社のSNS運用を請け負うことを禁じる法律はありません。制作会社がホームページを作るのと同じ業務委託です。注意が要るのは投稿の中身で、景品表示法、薬機法、医療広告ガイドライン、著作権法は、誰が投稿しても適用されます。
Instagramの規約で禁止されていること
Instagramの利用規約には利用者の約束に関する項があり、次のような行為が禁止されています(要旨。原文は規約で確認してください)。
- 他人になりすますこと、不正確な情報を提供すること
- 自動化された手段でアカウントを作成したり、情報を収集したりすること
- アカウント(ユーザー名を含む)の売買や譲渡
- 他人のログイン情報を要求・収集すること
コミュニティガイドラインでも、いいねやフォロワーを人為的に集める行為は禁じられています。自動いいね・自動フォローのツール、フォロワーの購入、別人名義のアカウント運用が、ここに当たります。
人が運用する代行は、ここに入りません
企画を立て、撮影し、編集し、投稿し、コメントに返す。これを人が行い、アカウントは依頼主の名義で、依頼主の許可のもとで動かす。この形は、店のスタッフが投稿するのと変わりません。規約が問題にしているのは「誰が投稿したか」ではなく「不正な手段を使ったか」です。
危ないのは、こういう形です
| やり方 | 何が問題か |
|---|---|
| 自動ツールでフォロー・いいねを回す | 規約違反。アクション制限やアカウント停止の対象 |
| フォロワーや再生数を買う | 規約違反。数字が消され、アカウントの評価が下がる |
| 代行会社の名義でアカウントを作る | 解約時に返ってこない。売買・譲渡は規約で認められていない |
| パスワードを複数人で使い回す | 不審なログインと判定されてロックされる。乗っ取られたとき誰の端末からか分からない |
パスワードの共有そのものを規約違反と言い切る条文はありませんが、他人のログイン情報を要求する行為は禁止されています。実務上も、ロックと乗っ取りの原因になります。
正規の形:Meta Business Suiteで権限を渡す
依頼主のビジネスポートフォリオに、代行会社をパートナーとして追加し、Instagramアカウントや広告アカウントへのアクセス権だけを付与します。渡せるのはアセットへの権限だけで、ポートフォリオの管理者にはなれません。解約したら権限を外せば終わりです。手順はアカウントの渡し方に書きました。
規約は変わります
Instagramの規約とガイドラインはたびたび改定されます。今日問題ない手法が、来年も同じとは限りません。契約書に「プラットフォームの規約に反する手法を用いない」と一文入れておくと、後から揉めません。